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【寄稿】イギリスのラベル事情④ 医薬分野でラベルが活躍

25年前に渡英し、薬事翻訳業の傍らTullis Russell Coatersに勤務するガードナー・恵子が、消費者の視点からイギリスにおけるラベルの使用例と包装について、3回にわたり報告する。「イギリスのラベル事情最終回」では、薬局でラベルがどのように使われているかを紹介する。
 
 イギリスの医療制度NHS(National Health Service)について簡単に説明しよう。患者は救急と歯科以外はどのような症状でも、まず事前に登録してあるかかりつけ総合医の診療所に行き診断してもらう。総合医が必要と判断した場合には専門医に紹介してくれる。診療はすべて無料だ。処方せんは総合医が出す。
 出された処方せんを患者が最寄の薬局に持っていくのは日本と同じだ。薬局では処方せん1枚当たり7ポンド65ペンス(約1080円)を払う。この料金は、薬の価格や量、種類に関わらず一定で、子供や高齢者、一定の慢性疾患患者などは免除となる。安い印象を受けるかもしれないが、市販されている痛み止めなどは1錠当たり数ペンス程度でスーパーでも買えるし、処方薬でもジェネリックは原価が低いものが多いため、必ずしも安いとは言えない。そもそもイギリスの医者は、多くの日本の医者ほど薬を処方しない。
 薬局では、薬局名、住所、電話番号、ロゴのほか、調剤担当者と確認担当者がイニシャルでサインする欄が印刷してある調剤ラベル用紙に、患者の氏名、処方薬の薬剤名、投与用量と投与法、力価(薬剤の強さ)などの情報をプリンタ出力する。この内容はガイドラインに規定されており、酒類を避けるようにとか、眠くなったら機械の操作や自動車の運転をするな、といった短い注意事項や警告が指定されている薬もある。
 内服薬のカプセルや錠剤は大多数がPTPシート包装されており、包装のまま必要な量を添付文書と一緒に紙箱へ入れる。添付文書には薬の詳しい情報が書いてあるので、患者は後日参照できるように、薬と一緒に入ってきた箱に入れて保管するのが理想とされる。
 この調剤ラベルを各薬箱に貼り、処方された薬がすべてそろっているかを確認して調剤用の紙袋に入れる。紙袋は、もう一枚のラベル用紙に患者の名前、住所と診療所名等をプリントしたもので封をする。カウンターでは、患者の名前を呼び、ラベルと照合しながら口頭で正しい受取人かを確認して袋を手渡す。
 このように薬局で処方される医薬品のほか、スーパーなどの棚に陳列してある市販薬、薬局カウンターで求めるOTC薬、医薬品類など、すべての包装には点字表示が施されている。紙箱に入っているものは箱に直接点字加工してあるが、プラスチックの容器やガラスびん、スプレー缶などに入っている製品には点字ラベルが貼ってある。
 さて、日本では、何十年も前から貼るタイプの湿布類が汎用されているが、イギリスでは、最近やっと似た製品を見かけるようになった程度であまり出回っていない。筋肉痛や肩こりには、消炎鎮痛剤の入った市販のクリームやジェルを塗るか、消炎鎮痛剤を内服する場合が多い。また、ここ数年で使い捨てカイロがやっと出回り始めた。底冷えのするイギリスで流行らないのは不思議だが、国境で没収されるという話もかなり以前に聞いたことがある。爆弾との混同や、使用時の低温やけどの危険性などがネックとなっているのだろうか。現在は、スキーや登山、釣りなどのスポーツ向けが主で、サイズが小さく種類も少ない。これは最近の燃料費の上昇で人気が上がるかしれない。冷却パックは、夏でも寒いイギリスでは、主に子供が発熱した時の熱さましと筋肉などの消炎向けにマーケティングされているようだ。
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 以上4回の報告でイギリスの生活事情を少しは垣間見ていただけたでしょうか。これで連載を終了とさせていただきます。

紙面から

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