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【教えて!@ラベル】粘着ラベルの製造工程、知ってますか?

粘着ラベルの製造技術は昔、特許に守られた「特殊技術」でした。
現在は、特許こそ失効したものの、その特殊技術については引き継がれており、さまざまな工程を経て製造されることに変化はありません。
ここでは、粘着ラベルの製造工程について説明します。
 
〈印刷前の工程〉
 
①製版
印刷とは、そもそも同じ内容のものを大量に紙へ複製すること。
そのため、複製のベースとなる「版」が重要です。
この版を製造する工程が「製版」。粘着ラベルの版にはさまざまな種類があり、印刷会社は専門の業者に依頼したり、自社工場で製版したりして、できるだけ精巧な版を作っています。
 
ここで印刷の予備知識を。
美術の知識に明るい人ならば知っていることですが、印刷の色は青・赤・黄の「三原色」に黒(墨)を加えた4色で再現することが可能です。ちなみに印刷で は、青を「シアン(cyan)」、赤を「マゼンタ(magenta)」、黄を「イエロー(yellow)」、そして黒を「キープレート(key plate)」と呼び、それぞれの頭文字を取って「CMYK」と表現します。この4色は、印刷インキの「プロセスインキ」と言われます。この4色を掛け合 わせて、たくさんの色を再現するのです。
フルカラー印刷を手がける場合、製版工程では、シアン1色の版、マゼンタ1色の版といったように、プロセスインキそれぞれの版を作ります。
 
では、写真のような微妙な色合いの変化を、4色のインキでどのように再現しているのでしょうか。
印刷された写真を拡大すると、細かい点の集合体を見ることができます。よく見ると、先ほどのCMYKの点です。この点を「網点(あみてん)」といい、4色 の点を細かく掛け合わせることで、多くの色を再現しています。濃い色ならば網点は多く集中し、薄い色ならば網点は少なく散らばっています。
写真などの製版は、この網点によって美しい印刷を実現するのです。
 
②刃型製造
誰でも知っていることとは思いますが、粘着ラベルを使う時、丸や四角などさまざまな形状のラベルをきれいに剥離紙から剥がすことができます。
下の剥離紙は切れていないのに、表面基材だけがその形に切れている。
これは、ラベル形状どおりの刃物である「刃型」を使って、粘着ラベルに抜き加工をすることで、きれいにその形に剥がすことができるようにしているのです。
すごいのは、表面基材の厚さだけを、わずかな狂いもなく抜くことができる印刷会社の技術力。
よく「最初にラベルの形を切り抜いて、裏に粘着剤を塗り、それを剥離紙に貼り付けている」という話を耳にしますが、それは誤り。一般的には、印刷したあとに刃型で上手に表面基材だけを切り抜いています。
粘着ラベルは、この刃型も大切。印刷会社は、専門業者に依頼して刃型を製造してもらっています。
なお刃型には、平らな刃型の「平抜き刃」と、鋼鉄製の円筒(ロール)に刃を彫刻する「ロール刃」の2種類があり、印刷方式に適した刃型を選択しています。
 
さて、これで前準備はOK。
粘着ラベルのもととなる「粘着紙」の原紙をセットし、「インキ」を印刷機のインキツボという部分に注入。さらに「版」と「刃型」をそれぞれ印刷機に装着することで、ようやく印刷の工程に入ります。
 
〈印刷工程〉
③印刷工程
印刷は、紙やフィルムなどの原紙へ版からインキを移すことで、大量に複製することを指します。
版は色ごとに「版胴」のあるユニットに単独でセットされます。1色だけならば1版=1ユニットで済むため、とても簡単ですが、最近は写真のようなカラー印 刷のラベルを数多くあります。それに対応するため、印刷は4色以上のインキをそれぞれ専用の版で、原紙の上に次々と重ねて移す=「刷る」ことにより、さま ざまな色を再現しています。
なぜ「4色以上」なのでしょうか。それは、プロセスインキの「CMYK」に、この4色以外の色が加わるからです。
具体的には、4色の掛け合わせで表現できない白や金・銀などのインキがあります。また、インキの掛け合わせで表現しにくい淡い中間色をはっきり印刷しなけ ればならない場合に、網点の掛け合わせではなく、インキをあらかじめ混ぜ合わせることによって表現します。これらのインキを特別な色、すなわち「特色」と いいます。
特色にも当然、専用の版が必要となりますので、4色以上=4ユニット以上が必要になるのです。
 
さて、インキを重ねていく上で、実は難しい問題があります。
つまり、乾いていないインキの上に、別の色のインキを刷ると、インキ同士が混じり合って汚くなってしまいます。これでは、たとえ精巧な版を使っても、きれいな印刷ができません。
そこで、ラベル印刷には、紫外線(ウルトラバイオレット=UV)で硬化する「UVインキ」が多く採用されています。ユニット間にUVを発光するシステムを 設置し、インキを1色刷った直後に瞬間硬化(乾燥)させることにより、次のインキを重ねて刷っても、インキが混じらないようにしています。
 
これで、きれいな印刷ができました。
 
〈印刷の後工程〉
④箔(はく)押し加工、エンボス加工
粘着ラベルには、商品を目立たせるようなデザインを求められるケースが少なくありません。主に、高級な商品でそのような需要があります。
その要求に対応する場合、もちろん金や銀などのインキも採用しますが、やはり光沢感は、本物の金・銀にかないません。
そこで、金箔や銀箔を熱した金属版でラベルに押し付けることにより、きれいな金・銀色をラベルに加工する技術が用いられます。これを「箔押し加工」といいます。
また、箔を使わず金属版を表裏の両方からラベルに押し付けると、ラベルの表面にきれいな凹凸を加工することができます。これが「エンボス加工」です。
いずれもラベルの付加価値を高める技術として、活用されています。
 
⑤ニス加工、ラミネート加工
粘着ラベルは、用途によって耐水性や耐候性、あるいは耐久性などが求められます。そのため、印刷後の表面を保護する目的で、透明のニスを塗ったり、透明のフィルムを貼り付けたりします。
これを「ニス加工」「ラミネート加工」と言います。特に紙製のラベルは、水やこすれに弱いので、このような加工を行うことにより、耐性を高めているのです。
 
⑥抜き加工、カス上げ
印刷の前工程で製作した刃型を、金属の板や圧胴にセットすることで、ラベルの「抜き加工」を行います。
抜き加工には、剥離紙を切らずにラベルの表面基材をきれいに抜く「ハーフカット」と、剥離紙までそっくり抜いてしまう「全抜き」があります。
また、ハーフカットでは、抜いた後に必要な真ん中のラベルを除いて、周りのいらない部分を取り除く工程もあります。これを「カス上げ」と言います。カス上 げしておけば、必要なラベルをすぐに剥がすことができるので、とても便利。取り除いた部分は、くるくるとロール状に巻き取られていきます。
なお最近では、抜き加工に刃型を使用せず、レーザー光線やカッティングプロッタを活用するケースが現れました。これならば、前工程で刃型を製作する必要がありません。また、1枚ごとに好きな形に抜くこともできるので、次世代の抜き加工技術として注目されています。
 
このほかにも、ラベルの後工程には、剥離紙の裏側に切れ目を入れることで、ラベルをより剥がしやすくする「裏スリット加工」や、ラベルの1枚ごとに 異なった情報を加えるためにインクジェットユニットを使う「可変情報印字」、ロール状のラベルをシートごとに断裁する「シートカット」、ラベルの印刷に不 備がないかを、CCDカメラなどで自動的に検査する「自動検査」などがあります。
 
なお、日本の粘着ラベル製造は、「印刷工程」と「後工程」をまとめてこなしてしまうケースがほとんどです。
つまり原料から最終製品まで一気に製造できるため、「特殊印刷」と呼ばれるのです。
近年では、特にこの「後工程」に関する技術に関心が集まっており、ラベル以外の製品を生産する際に応用されています。例をあげるならば、皆さんがお使いの携帯電話やスマートフォンなどの液晶部分に、ラベルの加工技術が活用されています。

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