日本国内唯一のラベル関連専門紙

ハイ・アングル(2021年6月1日号掲載)

▼「白い衣装の時はピンスポットが消えても必ず一拍置いて動く」。舞台の中央に立つトップ演者の言葉だ。暗転して直ぐに動き出せば白の残影が見えてしまう。観客の目が暗闇に順応するわずかな時間、その場に留まって闇に消える。観客の没入感を途切れさせない小技と気遣いだ

 
▼コロナ禍も早や1年半。爾来(じらい)抗ウイルスに関する粘着加工品の記事が躍る中、急増するのは紙やインキなどエコマテリアル製品の情報だ。サスティナブル社会の実現へ、ブランドオーナーは失われた1年を経てアクセルを踏み込む
 
▼直上の報は、フィルム製POPラベルをゼロにする、という当業界の流れを変えた一言の“その後”。ブランドオーナーは何もPOPラベルと共に販促機会まで排した訳ではない。シュリンク裏面に可変情報を印字する、これまたゲームチェンジな奇策に同分野最大手も技術の粋を投下
 
▼キャンペーンのポイント受益に、購入者はボトルからラベルを剥がす必要がある。POPラベルを止めたことで見えた、販促+分別促進という新たな世界線。ラベルはエコマテリアルというモノと同時に、コトも進化を遂げる
 
▼再資源化ではなく「ゴミを出さない」へ。容器にガラスやステンレスなど高耐久素材を用い、回収・洗浄・充てんして再び販売。容器を繰り返し利用する新たな流通プラットフォーム「LOOP」が5月25日、イオンの首都圏19店舗で始動した。ボトルガムは約2,000円も、回収後に容器代800円分が還元される
 
▼再利用に備え再剥離ラベルやシュリンクラベルが容器を覆い、のり残りの残影を回避するなど小技が光る。店舗の広大な〝舞台〟の片隅でひっそり始まったLOOP。再生紙仕様で纏う衣は純白でなくとも、通称「0番」、選ばれた者のみが立つことを許される舞台中央でピンスポットを浴びる日は来るか。第二幕の主役は誰だ。
 
(2021年6月1日号掲載)

紙面から

▼例年にない熱気に包まれたブリュッセル。世界各国からラベル業界人が「ラベルエキスポヨーロッパ」へ集結し、会期中はいたるところで製品紹介や意見交換など熱論を交わす姿がみられた。9月の同地は最高気温20度ほどと比較的過ごしやすい気候のはずが、連日30度超えが続いたことも展示会熱に拍車をかけた


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