日本国内唯一のラベル関連専門紙

ハイ・アングル(2020年12月1日号掲載)

出社してはいけない、訪問してはいけない。外出してはいけない、店を開けてはいけない——。平日なのに、年の瀬の静寂をたたえる灯りが消えた街。日中なのに、西口から東口改札が見通せた首都の巨大ターミナル。まるで映画の世界が現実になった一年も最後の月を迎えた。師走のお師さんも、今年に限ってはマスクを着け外出自粛か

 
 ▼コンビニ主要7社の10月度統計調査では、政府の観光支援策で客足は回復基調も売上高は各社前年同月比で4.3%の下落。他方食品スーパーは、10月の売上高が既存店で同3.6%増と9カ月連続の増加となった。カップ入り味噌やマーガリンの中ふた材を全抜きする加工機が受注増と、ラベル業界の装置メーカー。在宅時間が増え家で料理を作る機会が増えているという、2大業態の明暗を分ける結果に符合する
 
 ▼買いにこないなら売りに行く。急激な社会環境の変化も収束が見えない中、一部コンビニでは専用サイトから注文後1時間以内で店頭商品を個人宅へ届ける宅配事業に舵を切る。大きな四角いリュックを背負い自転車で街を縫って駆ける、コロナ禍に急成長中のフードデリバリーにも抗う構えだ
 
 ▼置き配や非対面受領は、再配達を減らす目的に加え足元の接触感染予防を伴いニューノーマルとなろう。屋外に置かれる荷物に専門業者ではないアルバイトも携わるフードデリバリー。未開封という安心証明で企業価値を守る、封かんラベルも新常態の要になりそう
 
 ▼「いけない」の渦中も医療に物流、流通に従事するエッセンシャルワーカーにわれわれはラベルを供給し続け、暮らしの連環を守った。12月は別名春待月。ここまで辿り着いた事を誇りマスク越しでも師弟で労り合い一年を回顧したい。〝貼る待ち月〟の先の、睦み合える1月を待望しながら、まずはフードデリバリーでオンライン忘年会だ。
 
 
(2020年12月1日号掲載)

紙面から

▼例年にない熱気に包まれたブリュッセル。世界各国からラベル業界人が「ラベルエキスポヨーロッパ」へ集結し、会期中はいたるところで製品紹介や意見交換など熱論を交わす姿がみられた。9月の同地は最高気温20度ほどと比較的過ごしやすい気候のはずが、連日30度超えが続いたことも展示会熱に拍車をかけた


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