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drupa延期に関するメッセデュッセルドルフ本部長一問一答(全文)

【ラベル新聞4月1日号1面】
 
独メッセ・デュッセルドルフはこのほど、6月16日㈫から11日間にわたりデュッセルドルフ見本市会場で開催予定だった「drupa2020」の延期を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてのもので、「drupa21」と名称新たに、来年4月20日㈫〜30日㈮の日程で開催される。
今回の会期延期は、独連邦保健省下にあるロベルト・コッホ研究所が発した「主要イベント開催リスクへの勧告」を受けた独政府危機管理チームの要請に従ったもの。また、3月11日には、デュッセルドルフ市から1,000人を超える参加者が予定される主要イベントの開催中止勧告が出されていた。これらの状況により、メッセ・デュッセルドルフでは6月の同展開催について中止を決断。同展を運営する主要メンバーやスポンサー団体と密接な協議を重ねた結果、来年4月への延期を決めた。
中国に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大は、アジアだけでなく欧米でも猛威を振るっており、今年の開催は世界的な感染状況をみても難しいものとなっていた。また、世界各国の出展企業からは、独への大型機材出荷が行われる時期に来ていたことから、メッセ・デュッセルドルフは、市の勧告を受けてすぐの3月13日に判断を下した。
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drupa本部長兼印刷・メディア産業メッセ統括のサビーネ・ゲルダーマン氏(写真(C)Messe Düsseldorf / C. Tillmannの本紙への一問一答(全文)は次のとおり。
 
 
ーー独とデュッセルドルフ市において、新型コロナウイルスの現況は
 

「現在、独における新型コロナウイルス感染者数は増加の一途を辿っており、まさにこれが、drupaを2020年6月から2021年4月20〜30日へと延期しなければならなくなった理由です。メッセ・デュッセルドルフは、主要イベントの開催リスクを評価しているロベルト・コッホ研究所の見解を考慮する独連邦政府危機管理チームの勧告に従っています。これに加え、新たに新型コロナウイルスに感染した患者数増に基づき、メッセデュッセルドルフは、状況を再評価してきました。さらには3月11日にデュッセルドルフ市から、参加者1,000人以上になる主要イベントの原則禁止とされたことも決断理由となりました。このような背景から、残念ながらdrupaを延期する以外に選択肢はありませんでした」

 

ーーdrupa2021に向け、現在の概況とスケジュールなどを

 

「drupa延期は、すべての関係者にとって前例のない新たなシナリオであり、ある程度の柔軟性が必要です。過去の成功同様、新たなdrupa2021へ成功を引き継ぐために、われわれは可能な限りの対策を講じていきます。世界中の出展者および来場者のために、2021年に唯一成功したdrupaを組織することは、私たちの野心であり願望でもあります」

 

「私たちの最優先事項は、訪問者に関連性が高く、刺激的で永続的に価値のあるコンテンツを提供することです。ブースガイドツアーによって締めくくられるコンファレンスプログラムは、すでにdrupaウェブサイトで予約が可能になっています。もちろん、私たちの目標は、今回予定されていたプログラムを可能な限り来年4月開催のdrupaで再現することです。現在、顕著な課題は、デジタル変革、循環経済とサスティナビリティーまたは新たなビジネスモデルであり、これらは、基調講演やパネルディスカッションなどでテーマにあげられることで、企業に刺激を与え成功のための助言となるでしょう。また、新型コロナウイルスの影響後、これまで以上に重要視されているテーマでもあります」

 

 

ーーdrupa2021に向けた今年の活動やPRなどについて

 

「今年は、現状を来年のdrupa2021に再編成することがすべてとなります。現在は、drupa2021においても現状維持ができるよう、既存の出展者や基調講演の講演者全員と常時連絡を取っているところです。今回のdrupa延期に関する国際的な顧客とパートナーの反応は、一様に肯定的であり、大きな理解をいただくことができました。出展者の中には、2021年にもっと大きなブースを求める企業もあります。また、われわれのソーシャルネットワークやプラットホーム上には、多くの感激するフィードバックをいただき、とても感謝しています。一つ確かなことは、業界は、世界的な地位、評価、輝きを持つdrupaを待っている、ということです。しかし、これは、現状では実現不可能なことでした」

 

「われわれは、来年drupaが開催されるまでの間、顧客がこのdrupaを最大限活用できるよう支援していく所存です。出展企業各社のイノベーションは、すでに公開の準備ができています。そのため、当社としては、各社のニーズを満たす手法を模索していく必要があります。現状で、drupa ウェブサイトは、最新情報を見つけ理解することが可能なプラットフォームとして機能しています。drupaニュースルームだけでなく、企業ニュースカテゴリーでは、出展者が製品や企業情報を発信し続けることが可能です。2021年4月における顧客の期待に応えるために、われわれは、あらゆる策を講じます。2021年に、ともに未来を受け止めましょう!」

 

 

ーー次回drupaでのラベル&パッケージ向け資機材のトレンドは

 

「ラベルを含むパッケージの主な影響点は次の通りです。Print 4.0、カスタマイズ化、自動化、デジタル化、後加工、装飾、スマートファクトリー、AIなど。印刷およびラベル&パッケージにおいて、AIは明らかに主要な推進力となっています。もはやフィクションではなく、今日では、マシンが対話し、予測メンテナンスを整理・オーダーし、人間の助けなしに特定の決定を下します。段取りと印刷はよりスマートになり、重ねられる自己学習はこれまでにないレベルまで引き上げられます」

 

「この分野での継続的な開発は、スマートファクトリーとAI活動の双方をアップグレードしています。また、拡張現実とバーチャルリアリティは、多くのコトが起こっている場所です。特に、バーコードやテキスト、そのほかの形式のコミュニケーションを利用する食品包装によって、消費者は製品をより深く洞察するためにアナログからデジタルの世界へと、進んでいるのです」

 

「今後は、顧客経験を強化するオプションと機会、デジタルチャネルとアナログチャネルの統合およびコミュニケーションについてより深い検討をする必要があります。デジタルツイン(工場や製品などに関わる物理的な工程を、リアルタイムに同様の状況でデジタル再現すること)またはバーチャルリアリティは、可能を不可能にします。それらは世界をつなぎ、印刷会社は、遠隔地のパートナーからトレーニングや指導を現実のように受けることが可能になります」

 

「drupaでは、機械によって生成される完全なデジタルツインに印刷機オペレーターが接続し、バーチャルリアリティ製品を生成できるようなアイデアが披露される予定です。これによりオペレーターは、各種問題を解決し、メンテナンスを実行することで、重要タスクをすぐに完了することができるようになるのです。これは本当に興味深い最新技術となります。オペレーターは特別な装置を着用し、デジタルソリューションを介して完全な生産を開始できるのです。これは、顧客と印刷会社の同化を促進するものです」

 

「もう一つの大きな影響点は、今日のコネクッテドコンシューマーです。誰もが常にスマートフォンを使用しており、何が起こっているのかをその場で見ることができるだけでなく、価格とサービスも比較することが可能です。印刷プロバイダーは、このような顧客の動きに注意する必要があります。企業の忠誠心というものは、残念ながら年々失われつつあります。進行中のプロジェクト中では、簡単に現サプライヤーから別のサプライヤーへと選択を変えていきます。このようなトレンドにより、プラットフォムエコノミーが生まれていくのです」

 

「drupa2021では、ほかの業界が販売を管理しパートナーシップを確立するといった方法を調査する予定です。具体的には、『印刷やパッケージも同時に行うことで利益を得ることができますか?』という質問を投げかけます。私たちは、競争の考え方に取り組み、独のオンラインプリント小売コミュニティにより、共有、注文、オーダーの履行、新しいパートナーオプションの模索といったものが、具体的にどのように行われるかを議論する予定です。また、プラットフォームエコノミーの調査では、近未来、新しいビジネスを獲得し製品を拡大する際に、印刷工程がどのように推進されるかを説明します」

 

「eコマースは、印刷およびそのほかすべての業界(小売、家具、製薬、化粧品など)に影響を与えます。ラベル&パッケージ印刷は、進行中のデジタル変革プロセスと交差アプローチに従事しているほかの業界からも、学ぶ必要があります。適応性が重要なのです。drupaには、専用フォーラムとして「drupa Cube」および「Touchpoint Packaging」があり、講演者を招待し、他の業界の成功プログラムについて詳しく説明します。どちらもまだ市場に出ていない先進性のあるパッケージソリューションへの感動的なコメントを提供します。循環経済の原則とサスティナビリティーの疑問を、先進的なパッケージに統合することで可能になるユニークで新しいサンプルが見出されるでしょう」

 

「サスティナビリティーは、今やライフスタイルになっています。メッセデュッセルドルフは、エネルギー消費分野でのプロセスを監視し、見本市を最適化。廃棄物ゼロに関連するすべてを確実に処理するようにします。drupa出展者も同様です。彼らはそれらのトピックをより深く掘り下げるための解決策を考案しています。業界全体では、プラスチック、海洋、およびリサイクルについて、地球規模ですでに議論しています。よって、印刷およびラベル&パッケージプロバイダーは、循環システムを考える必要があります。PETボトルは再びPETボトルになる必要があります。それを実現するために必要なすべてのステップを踏むことについて、われわれは議論しなければなりません。今後10〜20年間、プロセスを実行するには、他の業界と連携する必要があります。循環サイクルはよりダイナミックになります。これは予想どおりです。政府やブランドオーナーは、近い将来、私たちにさまざまな面で強制するでしょう。材料から全体的な生産に至るまで、ラベル&パッケージの供給および開発チェーンは、ライフスタイルとしてサスティナビリティを取り入れなければならないのです」

 

ーー最後に、日本のラベル&パッケージ印刷産業へのメッセージを

 

「印刷、特にラベル&パッケージ印刷は、素晴らしい成長の可能性が見込まれています。世界人口の65%がアジアに居住しているため、市場は継続的に成長しています。デジタル印刷とラベル&パッケージ印刷は、非常に重要な成長分野の2本の柱として、現在、際立つ存在となっています。多くの大手企業が、パーソナライズ化された商品や洗練されたデコレーションを求め、インクジェットがパッケージにもたらすプラス効果を検討しています」

 

「今後も引き続き、急速な変化が待っています。しかし、それは明るい地平線です。近未来に起こるだろう技術のハイライトは、drupa2021で発表されます。当展での議論は、非常に広範囲になります。導入が予定されている革新的製品は、この最前線で何が起こっているかについて、多くが披露される予定です。drupa2021は、ラベル&パッケージ印刷、特殊印刷、テキスタイル印刷などの成功を加速させるでしょう。これはポートフォリオを多様化させている出展者を鏡のように反映したものでもあります。多様化は、drupaの焦点であり心臓部なのです」

 

「ラベル&パッケージコンバーティングは、よりインライン化が進み、より速く、より良く、より安く、常に新しい需要に対応するためにクイックデリバリーをしなければならないというプレッシャーにさらされています。運用の合理化は時代の優先事項であり、包括的なロジスティック上の課題でもあります。業界では、廃棄物の削減、材料のリサイクル、配送の迅速化、自動化されたワークフローの採用、AIによる前進を実現するため、これらの分野により集中的な検討を進めるでしょう。drupaと同様に、印刷会社は『未来を受け入れる』準備ができており、進んで対応することを望んでいます。2021年、ともにやりましょう!」

 

「drupaの日本人コミュニティーは常にとても重要な存在で、出展者のキープレーヤーとなっています。日本はdrupaの初開催以来、非常に革新的な製品とアプリケーションで、当展示会を充実させ続けています。日本が、技術の進歩と革新において世界をリードしているのは事実です。また、現在も、日本はドイツに加えて主要な出展国として脚光を浴びており、わが国同様、新型コロナウイルス感染症による現在の課題を、なんとか克服していただけると願っています」

 

「2021年4月に出展者と訪問者の双方で、日本人の参加者を歓迎することを楽しみにしています」

 

 

 

 

 

 


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